～　金融円滑化法が求める地域金融機関の新たな役割　～
　２００９年１１月、金融庁は、金融機関が融資先の中小企業の返済期間の延長や金利減免などの貸出条件の変更に応じやすいよう「金融検査マニュアル」と「監督指針」の見直しを行いました。

　合わせて、同年１２月、金融担当大臣から出された「新しい金融検査マニュアルに基づく金融検査について」の通達の中で、金融機関に対して、「単に資金供給を行うだけでなく、適切な経営相談・経営指導といったコンサルティング機能の発揮が期待されている。」ことを明らかにしました。

　これらのことから、地域金融機関は、顧客企業に対して、結果としての財務業績だけに留まらず、その原因である外部環境分析や顧客企業分析を行い、なぜ業績が低迷しているか、経営者と認識を共有することが求められています。

　金融の多様化と競争激化の中で、地域金融機関の今後の活路の指針として、リレーションシップバンキングが、原点確認の意味も込めて打ち出されてきたところですが、ますます、地域の企業とどのようにして、この局面を乗り越えていくかが、目の前の大きな課題となっています。

　中小企業の周辺環境は、大手企業や競合企業との更に厳しい競争環境の中で大きな変革期を迎えており、短期視点から持続成長へ向けた中長期的視点で、それを共に支える必要が生まれてきたといえます。地域経済の成長と活力の担い手である金融機関が、今後どのように個々の取引先の経営実態を把握し、ライフサイクルにあわせた事業支援を進めていくか。その具体性と実践力に大変大きな期待が寄せられているところであるといえます。